宝満寺では、受付係(寺務員さん)として、3人の若奥さまが交代制で、来てくれます。
先日、坊守と若奥さまNさんの2人が、何やら、「カワイイ~♪」とか言いながら、
ナメコの人形の話で盛り上がっていました。
何がカワイイのか全く意味不明でしたので、なるべく関わり合わないようにしていたのですが、
突然、坊守が僕の方を、キッ!と見て、満面の笑みを浮かべながら、
「ねえ、この人形かわいいでしょ♪」
と、僕が「いいえ」と言いにくい、絶妙な問いをしてきました。
僕は、一瞬その人形を見て、「かわいい」と思い込もうとしましたが、
どうしてもこの人形が「かわいい」と思えません。
そうしている間にも2人は、
僕の目をにらみつけ、じっと見て、満面の笑顔で返答を待っています。
結局、その空気に耐えられなくなった僕は、
「は、はい」
と答えてしまいました。
完全なる敗北です。
うそをついてしまったことになります。
五戒の一つである「不妄語戒(ふもうごかい)」を破ってしまったことになります。
もし僕がサンガに所属する出家修行者であったなら、サンガを追放されているところです。
そもそも、何を「かわいい」と思うかなんて、人それぞれなはずです。
「かわいい」を人に強制するなんて・・・。
だんだん腹がたってきました。
おっと、
「おこらない・・・おこらない・・・」
自分で自分を言い聞かせながら、
本堂の掃除に向かう僕がいました。
どうやら僕には、さとりをひらくのは無理そうです・・・。
阿弥陀さまにおまかせするしかなさそうです・・・。